
アルロースが持つ効果とは?
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アルロースの効果
肥満が世界的に増加しています。肥満はメタボリックシンドローム(代謝異常症候群)の特徴で、体の代謝や外見を変えるだけでなく、2型糖尿病、脂質異常症、心血管疾患などの代謝障害のリスクを高めます。

肥満が増加している例として、韓国での肥満率(BMI ≥ 25 kg/m²)は、1998年に26%であったものが、2014年には30.9%(男性37.7%、女性23.3%)までに増加しています。
重要なのは、高血圧や糖尿病、脂質異常症のリスクが肥満によって約2倍高くなっていることです。
肥満の原因のひとつとして挙げられるのが、砂糖の摂取です。アルロース(D-アロース)は、肥満の対策以外にも様々な健康効果が期待できるとして注目されている甘味料です。

アルロースは、自然界では非常に少量しか存在しない「希少糖」で、酵素法によって人工的に大量生産することが可能です。
アルロースのダイエット効果
アルロースは「単糖」であり、「ぶどう糖」や「果糖」と似た構造を持つため甘みを感じますが、消化・吸収されずに体外に排泄されます。砂糖の70%程度の甘味を持ちながらカロリーがほとんどなく(<0.4 kcal/g)、「ゼロカロリーの甘味料」としてダイエットに有効とされています。
日本では糖尿病や肥満を抑制する食品補助剤として応用されている他、米国農務省(USDA)によって安全と認められており、脂質代謝に影響を与えることが示されています。
アルロースには、肝臓へのグルコース(ブドウ糖)の取り込みを促進し、肝臓で脂肪酸合成酵素が働くのを抑える作用があり、血糖値が低下し脂肪が蓄積するのを防ぎます。
さらに食事摂取量を減少させ、エネルギー消費や脂肪組織でのβ酸化を増加させる効果もあります。脂肪組織でのβ酸化が増えると、エネルギーとして使われることにより脂肪の減少が期待できます。
アルロースが炭水化物の酸化を抑える
アルロースは、1回の摂取で脂肪酸化を増加させ、炭水化物の酸化を減少させることもわかっています。炭水化物の酸化が少ないと、脂肪がエネルギーとして使われやすくなるため、エネルギー代謝を介して体重管理を助ける効果が期待できます。
動物実験では、体重、脂肪量、食事やエネルギー摂取量を減少させることが示されています。
レプチン欠損マウス(肥満の動物モデル)を用いた研究では、アルロースの摂取が体重や肝臓重量を有意に減少させ、内臓脂肪も減少させることが確認されました。
運動療法や食事制限なしで肥満関連の肝脂肪症を改善する効果も示され、肥満や肥満関連障害の予防および改善に役立つ可能性があると考えられています。
参考:香川大学発『希少糖』生活習慣行予防への新戦略アルロースで脂肪が燃焼される理由

アルロースはカロリーがほとんどないことからダイエット効果が知られていますが、それだけでなく脂肪燃焼効果も期待できます。
脂肪燃焼効果のメカニズム
アルロースには体内で脂肪燃焼を促進するスイッチをオンにする作用があり、脂肪を消費しやすい体づくりをサポートします。
アルロースを摂取することで、体内での脂質酸化量が増加します。脂肪酸化量が多いほど脂肪が多く燃焼され、エネルギー代謝において脂肪が減りやすくなります。
安静時や軽度運動時でも効果あり
アルロースは安静時や、1時間程度の軽い運動時でも脂肪燃焼を促進します。日常的に継続して使うことで、効果があらわれやすいと言える甘味料です。
ダイエット成功者の体験談
「ケトダイエット(糖質を極端に制限し、エネルギー源として脂質を摂取するダイエット法)を実践し、ビーガン(完全菜食主義)対応の食品を好む私にとって、アルロース甘味料は両方の条件を満たしていることが気に入っています。
低炭水化物ライフスタイルを実践している人や、植物ベースの食事にこだわっている人にとって、完璧な甘味料です。」
血糖値の上昇を抑制する効果

アルロースは、ほとんど消化・吸収されないため、血糖値が上がりにくい特徴があります。
血糖値に対する効果
アルロースを摂取すると、生命活動に関わるさまざまな生理機能によい影響を与えます。特に食後血糖値の上昇を抑える効果は、糖尿病予防に重要です。
体系的レビューとメタアナリシス
健康な人々を対象にした食後血糖値の変化を調査し、アルロース摂取群は摂取しない群に比べて、5gと10gの摂取グループともに、食後血糖値の上昇が抑えられることが確認されました。
アルロースの摂取で血糖値に関する研究データ
これから紹介する3つの研究結果のいずれも、アルロースが食後の血糖値を抑えるという同じ結論に至っています。
ひとつ目は、クロスオーバースタディ(2つのグループに分けて別々の治療を行うこと)による研究です。20人の健康な成人を対象に研究を行なったところ、7.5gのアルロース摂取が血糖値やインスリン濃度に影響を与えずに血糖反応を抑制しました。
次は、境界型糖尿病患者と正常血糖の成人を対象にした臨床試験です。5gのアルロースが標準的な食事後の血糖値を抑制しました。
アルロース製造業者の Tate & Lyle によるパイロットスタディ(プロジェクトの実現性を検討する小規模調査)では、10人の健康な成人に25gのアルロースを摂取させた結果、2時間後でも血糖値が基準値を超えなかったとされます。
アルロースの健康効果
アルロースは以下の健康効果も期待できます。
- 腸内環境の改善
- 抗炎症効果や抗酸化作用
腸内環境の改善

アルロースは小腸で吸収されて代謝されずに大部分が尿中に排出され、一部は大腸に運ばれて腸内細菌に代謝されます。大腸に移動したアルロースによって腸内環境が整えられます。
複数の研究でアルロースが特定の腸内細菌の増殖を促進することが示唆されていますが、アルロースが腸内細菌にどのような影響を与えるかについては、まだ完全には解明されていません。
腸内環境への影響は、摂取量、摂取頻度、個人の腸内細菌の構成など、さまざまな要因によって異なると現在考えられています。
抗酸化効果

アルロースには抗酸化作用もあります。体を酸化させる「活性酸素種(ROS)」を除去することで、以下のような効果が期待できます。
- 炎症性サイトカインの抑制
- 酸化ストレスによるアポトーシス(細胞死)から細胞を保護
- 酸化ストレスによる精巣損傷の防止
- 活性酸素種を分解する酵素の活性化
- コレステロールレベルの低下
- インスリン作用の効率化
メイラード反応を介して抗酸化特性を調べた研究によると、メイラード反応によって作られるメイラード反応生成物(MRPs)には抗酸化作用があり、アルロースを含む7種の糖のうち、アルロースが最も抗酸化活性が高いことが示されています。
※メイラード反応とは、熱を加えた糖やアミノ酸が褐色に色づく反応です。お肉やお菓子を焼くとできる香ばしい焼き色は、メイラード反応によるものです。
アルロースの効果的な摂取方法
アルロースは、特に糖尿病の場合、食後の血糖値の上昇を抑え、改善や予防に効果があることが確認されています。また、脂肪の蓄積を抑制し、動脈硬化の予防にも役立つことが明らかになっています。
効果を享受するために摂取する方法を確認しておきましょう。いつ摂取するのが効果的なのか?
アルロースは食事の前の摂取が効果的です。食事ごとに分けても一度にまとめて摂取しても大丈夫です。重要なのは、一度や二度でやめてしまわず、継続的に摂取し続けることです。
アルロースの1日の摂取目安
1日5g程度を継続的に摂取しましょう。ただし、アルロースは過剰に摂取するとお腹がゆるくなる可能性があるため、体重 60kgであれば1回に 24g、1日あたり54g以内に抑えましょう。
アルロースの効果的な食べ方

朝のコーヒーにスプーン 1杯のアルロースを加えるなど、いつもの食生活にプラスするとスムーズに取り入れられます。
朝食に加えるのもおすすめです。シリアルに蜂蜜やメープルシロップの代わりとしてアルロースを加えると、簡単な朝食になります。
朝一番に甘いものを摂ることになりますが、アルロースであれば血糖値の急上昇を心配する必要がありません。
グリーンスムージーやプロテイン、お茶などあらゆる飲み物に加えられます。カクテルやアルコールの入っていないモクテルなどにも最適です。苦味がある物でも、適度な甘味が加わることで飲みやすくなります。
アルロースの効果に関するQ&A
Qアルロースは痩せる効果があるのでしょうか?
砂糖と比較すると摂取カロリーが抑えられるため、ダイエットに効果的です。アルロースは砂糖の約70%の甘さがありながら、体内で代謝されず摂取後24時間以内に尿から排出され、カロリーは砂糖の10%程度しかありません。
砂糖の代わりにアルロースを使用すると、摂取カロリーが抑えられ脂肪燃焼が促進される可能性があります。
Q1日にどのくらいアルロースを摂取すればいいですか?
まだ研究段階ではありますが、健康な人が食後に血糖値を下げるには、1回の食事につき5gのアルロースで十分であることが研究で示唆されています。
小さじ2杯のアルロースは 8gなので、小さじ約2杯分程度ということになります。ダイエットが目的でも同様に5gの摂取でOKです。
Qアルロースは血糖値を上げないの?
アルロースは血糖値に影響を与えないため、糖尿病の方も安心して使えます。
その証拠として、砂糖の主成分であるスクロースのGI値(食後に血糖値がどのくらい上がるかを示す指標)が65であるのに対し、アルロースはゼロに近い値です。
研究では、アルロースは食後血糖値の上昇を抑え、インスリンの変動を減少させることが示されています。血糖値が急激に上がると値を下げるためにインスリンが大量に分泌される必要があるため、インスリンの値は変動が少ないほうが好ましい状態です。FDAもアルロースの安全性を認めています。