
アルロースは危険?
Share
アルロースに危険性はある?
アルロースは糖質制限やカロリー管理に有用であり、天然由来の希少糖なので人工甘味料に特有の危険性もありません。とはいえ、摂取する前に想定されるリスクについて知っておく必要があります。安全な摂取方法を確認していきましょう。

アルロースに発がん性はある?
発がん性とは正常な細胞をがん細胞に変える性質をいい、がんを引き起こしたりがんの発生率を高めたりする化学物質を発がん性物質といいます。発がん性物質には、太陽からの紫外線や特定のウイルスなど、環境中に自然に存在するものもあれば、自動車の排気ガスやタバコの煙など、人工的なものもあります。
参考:「発がんの仕組み」環境省
FDA(アメリカ食品医薬品局)は、 アルロースを「一般に安全と認められる」(GRAS)物質として認定しています。
アスパルテームなどの人工甘味料には発がん性が懸念される場合もありますが、逆にアルロースにはがん細胞を増えるのを抑える作用があり注目されています。この作用により抗がん剤として用いられる可能性が示されています。
気になる副作用は? 下痢など消化器系への影響は?

アルロースの摂取による主な懸念は、大量に摂取すると消化器系の不快感を引き起こす可能性があることです。
ただし、これは大量に摂取した場合のみ報告されているものであり、適量を守れば問題ありません。その証拠に、アルロースはFDAによって「一般的に安全」と評価されています(FDATrusted Source)。
大量摂取した場合の症状としては、以下のような消化器系の不快感が報告されています。
万が一心配な症状が現れた場合は、使用を中止し医師に相談してください。
- 下痢
- 腹部膨満感
- 腹痛
- 食欲の減退
- ガスが出る
- お腹が鳴る
副作用が生じる量は人それぞれ異なるため、自分の適量を見つけることが重要です。使用する際は少量から始め、徐々に増やしていくことをおすすめします。また、副作用のリスクを軽減するために、1日の摂取量を1回で摂取するのではなく複数回に分けて摂るのもおすすめです。
アレルギー反応の可能性は?

現時点では、アルロースがアレルギー反応を引き起こすという報告はほぼありません。
しかし、個人の体質や過去にかかった病気やケガによっては、予期せぬ反応が起こる可能性はゼロとは言えません。アレルギーを起こしやすい体質の場合は、一般には無害とされているものに対して、アレルギー反応を示す可能性があるためです。
具体的には、以下のような症状がアレルギー反応とされます。
- 皮膚の発疹やかゆみ
- 呼吸困難
- 消化器系の問題(吐き気、嘔吐、腹痛など)
- 口腔内や喉の違和感
アレルギーがある方は、使用する前に医師に相談することをおすすめします。
摂取量の上限は? 過剰摂取による影響は?
2018年に行われた研究では体重1kgあたり0.5gのアルロースを摂取すると、下痢や吐き気などの消化器系の不調が発生することがあると報告されています。0.4g/kg未満の摂取では症状は報告されていません。
これに基づいて、1回の摂取量と1日の総摂取量の上限が提案されています。
- 1回の摂取上限:体重1kgあたり0.4g
- 1日の摂取上限:体重1kgあたり0.9g
具体例として、体重60kgの人の場合の推奨摂取量は下記の通りです。
- 1回の摂取上限:約24g
- 1日の摂取上限:約54g
妊婦や子供は摂取しても大丈夫? 注意すべき点は?

アルロースは、過剰摂取を避ければ、子供や妊婦の方も使用して問題ないと考えられています。
適量のアルロース摂取は血糖値を上昇させにくいため、胎児への悪影響は少ないとされています。ただし、過剰摂取は胃腸の不快感を引き起こす可能性があるため、妊婦の方は1日35g以下の摂取に抑えることをおすすめします。
子供においては、アルロースが健康状態を改善する効果があるとされています。ある研究によると、アルロースは子供においても血糖コントロールを改善する可能性があることが分かっています。
特に、1型糖尿病や肥満のリスクがある子供にとってアルロースが有益と考えられます。さらに、腸内細菌叢を改善し、消化器の健康や免疫系を強化する可能性もあります。
妊婦や子供が適量のアルロースを摂取することは一般的に安全であり、血糖値の管理や腸内環境の改善といった健康効果も期待できます。
持病がある人は要注意! 医師に相談すべきケース

アルロースに限らず、特定の疾患がある方が血糖値を上昇させにくい成分を摂取する場合は注意が必要です。
アルロースは、一部の人で下痢や腹痛などの消化器系の不調を引き起こす可能性がありますので、特に以下の疾患がある方は注意してください。
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 炎症性腸疾患(IBD)
- クローン病
- 潰瘍性大腸炎
そのほか、以下の疾患がある場合も注意しなければなりません。
- 肝臓疾患
- 重度の腎機能障害
アルロースは主に肝臓で代謝されるため、肝臓疾患がある方、重度の肝機能障害がある人は特に注意が必要です。
また、重度の腎機能障害がある場合、アルロースの代謝や排泄に影響が出る可能性があります。
これらの疾患がある方や、健康上の懸念がある方は、アルロースの摂取前に医師や栄養士に相談することをおすすめします。
アルロースの安全性は?
アルロースは、複数の国際的な食品安全機関によって安全性が確認された甘味料です。ここでは、その安全性を確認するために、製造方法や国際的な機関における評価を紹介します。
天然由来ってホント? アルロースの製造方法

アルロースは、イチジクやレーズンなどいくつかの植物や果物に微量ながら自然に存在しています。しかし、日常的に消費する量を確保するためには、これらの天然源からの抽出だけでは十分ではありません。
主にトウモロコシなどの植物由来の糖質(ブドウ糖やフルクトース)を原料とし、化学的または酵素的手法で、酵素変換や精製、結晶化の工程で行われる人工的な製造方法が主流です。
酵素変換とは、酵素を使った化学反応によりある物質を別の物質に変換することです。アルロースの製造においては、自然界に存在する微生物から抽出された酵素(D-プシコースエピメラーゼ)を使用して、フルクトースをアルロースに変換します。
次に、フルクトースとアルロースを分離して精製します。物質を分離・精製する技法としてクロマトグラフィーなどを用いて、不純物を取り除きます。
そして、精製されたアルロースを結晶化させ、最終製品の形にします。
この製造過程は、自然界に存在する原料と酵素を使用しているため、「天然由来」と呼ばれることがあります。しかし、工業的なプロセスを経ているため、完全な天然物とは異なります。
専門機関による安全評価
アルロースの安全性については、複数の専門機関や規制当局によって評価が行われています。主な評価には以下のようなものがあります。
- 日本の食品安全委員会
日本では2014年に食品安全委員会がアルロースの安全性評価を行い、「適切に使用される場合、安全性に懸念がない」と結論づけています。
- FDA(米国食品医薬品局)
FDA は2012年にアルロースを GRAS(Generally Recognized As Safe:一般に安全と認められる)と認定しました。これにより、アメリカでの食品としての使用が認められています。
- EFSA(欧州食品安全機関)
2022年9月、EFSAはアルロースの安全性評価を完了し、提案された使用条件下での摂取は安全であると結論付けました。
- JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)
2019年、JECFAはアルロースの安全性評価を行い、提案された使用レベルでの摂取は安全であると結論付けました。
- Health Canada(カナダ保健省)
カナダでも2015年にアルロースの使用が承認されています。
これらの評価は、アルロースの安全性に関する科学的なエビデンスを基に行われており、現在のところ、適切な使用下での安全性が確認されています。ただし、新しい研究結果が出た場合には、これらの評価が更新される可能性もあります。
アルロース危険性に関するのQ&A
Qアルロースは安全ですか?
アルロースは現時点では安全性が高いと考えられていますが、個人の体質や摂取量によっては軽度の副作用が生じる可能性があります。また、妊婦や授乳中の女性、子供については、さらなる研究が必要とされています。
Qアルロースは人工甘味料ですか?
いいえ、アルロースは人工甘味料ではありません。比較的新しい天然由来の希少糖であり、その安全性と利点から注目を集めています。本コラムでお伝えしたように、個人の体質や目的に応じて適切に選択し、使用することが重要です。
Qアルロースは身体に悪いですか?
アルロースは、身体に悪影響を与える可能性は低いとされています。低カロリーであり、一部の研究では抗酸化作用があるといわれ健康の維持に役立ちます。